江戸前の海:環境と生態系の今

開催日時:2024年9月16日(月)13:00~18:00
方式:対面とオンラインのハイブリッド形式にて実施の予定
現地会場:東京海洋大学講義棟22番教室(第3会場)
主催:日本海洋学会 海洋環境問題研究会
コンビーナー:野村 英明、福田 秀樹(東京大学大気海洋研究所)
参加費用:無料,参加登録不要 
開催方式:対面+オンライン配信(300名まで) オンライン参加者はこちらのZoomにアクセスしてください。ミーティング ID: 819 5139 3910 パスコード: 675905

趣旨&プログラム:こちらからPDFファイルとしてダウンロードができます

趣旨
東京湾では,陸域からの栄養塩の流入量は未だ高い値を維持しつつも低下傾向にある。この低減に伴い基礎生産が低下傾向にあるとされる一方で,貧酸素水塊は必ずしも縮小傾向にはない。海底に蓄積した多量の有機物の消費により,栄養塩の流入が低減しても貧酸素水塊の縮小は時差を持つと考えられるが,近年では一時的かもしれないが拡大傾向も見られている。また,底生生物群集の多様性に変化が生じていることも知られている。首都圏流域からの影響を受けやすい半閉鎖型の内湾である東京湾は自然の変動と人間活動の変化の両方の影響を受け,この数年においても湾内環境が変化していると考えられる。
 東京湾は港湾地域が広がり,多くの沿岸住民にとって,日常的に海に接する機会は乏しく,湾内環境の現状をイメージすることは難しい。江戸前は知っていても,それらの生物がどのような環境下に置かれているかはよく知らなかったりする。ただそうした中でも,市民活動として環境教育や海岸清掃,生物調査などを行なっているグループはあり,参加している市民からは東京湾の環境や生態系の変化を指摘する声も聞かれる。
 そこで本シンポジウムは,海の環境や生態学に興味のある市民にできるだけわかりやすい内容と絞ったテーマ数で開催する。近年では市民科学の重要性が示唆されており,国連海洋科学の10年でも市民の海への意識を高める活動が奨励されている。環境保全に関する市民の知識増進のためにも学術的な成果の共有が求められている。東京湾に携わる市民や関係者も多いことから,本シンポジウムはできるだけわかりやすい内容となることを心がけ,分野横断的に,垣根を超えた議論の場を持ちたいと考えている。

プログラム
13:00-13:05 会長挨拶 福田 秀樹(東京大学 大気海洋研究所)
13:05-13:15 開催主旨説明 野村 英明(東京大学 大気海洋研究所)
13:15-13:45 東京湾沿岸に造成された3種類の生息場タイプ(港湾構造物,干潟,アマモ場)における海生生物の繁殖状況
 秋山吉寛(国土技術政策総合研究所),髙伏剛,新井功(株式会社東京久栄),柚原剛(国立環境環境研究所),内藤了二,岡田知也(国土技術政策総合研究所)
13:45-14:15 東京湾における近年のマクロベントスの分布と海洋環境の関係
 渡邉晟也,宇都康行,石井光廣(千葉県水産総合研究センター東京湾漁業研究所)
14:15-14:45 近年の赤潮発生の状況
 安平光希,片野俊也(東京海洋大学)
14:45-15:15 東京湾内の基礎生産と湾口の沈降粒子束の時間変化
 鋤柄千穂(海洋開発研究機構),宮崎奈穂(東京海洋大学)
15:15-15:30 休憩
15:30-16:00 流域から東京湾へ流入する栄養塩負荷量とその変化
 野原昭雄,岸剣(日本工営株式会社)
16:00-16:30 気候変動が貧酸素水塊に及ぼす影響と陸域負荷管理の効果
 東博紀(国立環境研究所)
16:30-17:00 東京湾の地形変化と湾内の流れ
 井上徹教(港湾空港技術研究所)
17:00-17:30 霞ヶ浦と東京湾における混合状態と貧酸素水塊
 増永英治(茨城大学)
17:30-18:00 総合討論と終わりの挨拶
 野村英明,福田秀樹(東大大海研)

Published On: 2024-9-19Categories: シンポジウム