以下の2課題が採択されました。

1.漁民との共同による中部国際空港島海域環境調査と市民・漁業組合への啓発活動

申請代表者:八木明彦(愛知工業大学工学部教授)
活動団体:中部国際空港島周辺海域調査研究会
活動期間:2010年4月1日〜2011年2月末日
助成額:290,000円

活動内容(応募書類からの抜粋):本研究会では、これまで、伊勢湾東部に建設された中部国際空港が周辺海域環境に及ぼす影響について、水産業への悪影響を懸念する漁業従事者からの意見をもとに独自に調査を実施してきた。その結果、海底付近の貧酸素化、底質の悪化、ならびに底生動物の減少の影響が認められた。これらの調査は、漁民からの要請にもとづき、漁民の全面的協力のもとで実施しているため、調査結果を漁民に還元し、さらに広く市民へ知らせるため、シンポジウムの開催やパンフレットの作成・配布に努めてきた。2010年度は、調査研究を継続するとともに、生物多様性条約COP10への参加や野間、日間賀島漁業協同組合での説明会を企画している。助成金はこれらの活動と、引き続き調査活動(連続観測機設置による観測など)に活用する計画である。
補足説明:COP10の関連事業として、環境省主催、愛知県主催のイベントに応募し、ブース形式によるポスター発表を予定。また、中部国際空港建設が周辺水域の生物多様性に与える影響に関する英文小冊子を作成し(500部)、COP10参加者に配布を計画。

推薦理由(環境問題委員会):本事業は中部国際空港島の建設による沿岸環境への影響評価を行い、その結果を漁民・市民に公表する説明会を開催することを目的としている。本活動は漁民との共同観測作業が盛り込まれており、環境科学に対する漁民ならびに市民の関心を高める効果も期待できると考えられる。本問題が社会的にも緊急性の高い課題であること、また、他の地域・問題における市民活動への波及効果も期待されるため、本活動に対する助成は意義あるものと思われる。

2.環境学習用テキスト『瀬戸内海の干潟の生き物ハンドブック』(仮称)の作成と、ハンドブック活用による環境への啓発活動

申請代表者:多田邦尚(香川大学農学部教授)
活動団体:香川大学瀬戸内圏研究センター職員による干潟観察会
活動期間:2010年4月1日〜2011年2月末日
助成額:300,000円

活動内容(応募書類からの抜粋):申請者らの所属研究機関が有する、実験実習施設、香川大学瀬戸内圏研究センター庵治マリンステーションでは、香川県下の小中学生やその保護者、あるいは中学・高校の理科教員を対象に年間数回の干潟観察会を実施している。本申請は、干潟観察会を実施する際にテキストとして利用できる小冊子を作製すること、さらにそのテキストを使って干潟の観察会を実施し、身近な自然環境への関心を深めることを目的とする。申請者らは、過去、平成17年度に福武学術文化振興財団の助成を受けて干潟の観察会を行う際のテキスト「干潟の生き物ハンドブック」を作成した。非常に好評であったが、部数に限りがあり、「購入して手に入れたい」との問い合わせや要望に応えられずにいた。そこで、本助成事業を活用し、申請者らが作成した「干潟の生き物ハンドブック」の内容をさらに充実させ、また市販することで、幅広く多くの方に利用して頂き沿岸環境への興味、理解を深めることを目的とする。
補足説明:出版会社との交渉において、出版に際しては一部買い取りで合意しており、助成金のうち、290,000円分を買い取り、残り10,000円は消耗品に充当する計画。買い取り分のテキストは関係者および、干潟観察会のテキストとして無料で配布する。

推薦理由(海洋環境問題委員会):本事業は干潟の生き物の生態を一般の方々に理解してもらうための小冊子を作成し、これを活用した干潟観察会を実施するものである。これまでの観察会等の実績、テキストへの反響を考慮すると、新たに市販の冊子が出版されることは、海洋環境に対する一般市民への啓発活動として本助成が有効に活用されることが期待される。

Published On: 2010-3-1Categories: イベント